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ロンドン印刷便利帳 イギリスのロンドンで印刷するなら知っておきたいトリビアや実用的なポイントをお伝えします。

紙のサイズの歴史あれこれ

[heading style=”1″]楽らく印刷便利帳【第1・3月曜日】
~紙のサイズはどうやって決まったの?[/heading]

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wikipediaから中世の活版印刷所の様子

 

 [quote style=”1″]

今回は紙のサイズの歴史のお話です。

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現在の用紙や紙のサイズはどのようにして決まったのでしょうか?

 
大昔はパピルスや羊皮紙などを使っていましたから、用紙のサイズは、その都度必要に応じて自由に作られていました。それから時間を経て、少しずつ見た目のバランスの美しさを重視するようになっていったようです。
 

現在、見た目のバランスで最も美しいとされるのは「黄金比」と言われるタテヨコの比率です。
 

「黄金比」の説明は少し難しいのですが、線分を1:xに分割する際に、xが1:x=x:(1+x)になるように分割できるサイズということです。
 

数学的な講釈で難しいですよね…
 

なるべく簡単に説明しますと、「黄金比で構成された長方形は、下のイメージのように正方形とする部分と元のタテヨコ比と同じ長方形に分割する事が出来、これを繰り返すことで、無限個の小さな正方形に分割できる長方形」、ということになります。
 

次の図が黄金費の長方形のサンプルです。よく見てみてください、どんどん正方形に分割することができるのがわかりますか?
 

正方形に分割されて残った部分は、元の長方形のタテヨコ比と同じなので、同じようにどんどん正方形に分割していけるのです。次の図は日本の岐阜県の教育委員会が黄金比について説明したページからの引用です。
 

黄金比の秘密
 

上の長方形のように、黄金比の長方形は、無限の正方形で埋め尽くされた長方形なのです。
 

こういう性質があるから人の目には美しく感じるようです。
 

黄金比は、美しい比率として、実は昔から絵画の構図などにもよく使われているんです。
 

下の絵画の構図が安定して見えるのは、夫人の横たわる姿が黄金比の長方形に収まるように構成されているという理由だからだそうです。

 
wikipediaより。ジャック=ルイ・ダヴィッドの『レカミエ夫人』(1800年)。構図が安定して見えるのは、夫人の横たわる姿が黄金比の長方形に収まるように構成されているからだという。
wikipediaより。ジャック=ルイ・ダヴィッドの『レカミエ像』(1800年)。
 

さて、グーテンベルクの活版印刷が登場すると、印刷が盛んになり、そのための用紙が大量に必要になります。
 

ところが、黄金比で紙をつくると、半分に折った時に、紙のタテヨコ比は変わり、黄金比では無くなってしまいます。
 

印刷物にとっては、以前のブログ「A4やA3の紙のサイズってどんな大きさ?」で紹介したように、これは不都合なのです。
 

そこで、ドイツの工業規格として採用されたのが、「白銀比」と呼ばれる、紙の比率です。
 

その比率はこのようなものです。
 

紙のサイズ

 
この比率、見た事ないですか?

 
そうです、「A4やA3の紙のサイズってどんな大きさ?」の記事で触れましたが、覚えていますでしょうか?
 

そのとき、紹介しましたように、これは何回半分にしても同じ縦横比になる便利な比率です。
 

「白銀比」は「黄金比」に次ぐ「美しい」比率で、なおかつ工業的にも便利な比率なのです。

 

その後、面積が1平方メートルとした、タテヨコ比が「白銀比」となる841ミリ×1189ミリの用紙がA0と定められました。
 

そして、A1、A2、A3、A4、A5…と、数字がひとつ増えると、半分のサイズになるように、「白銀比」の用紙が決められたのです。
 

現在A版の用紙は、国際的なISO規格として定められ、ポスターやチラシやパンフレットなど、数多くの印刷物が、これらのサイズを基準にデザインされているのです。
 

なお、A版の紙の用紙のサイズはあくまでも仕上がりの紙のサイズのお話で、原紙のサイズは、印刷の後に「裁断される部分」を含めるため、ちょっと大きなサイズになっています。
 

次の「楽らく印刷生活ブログ」では、印刷の後に「裁断される部分」に関連して、裁断する位置を定める「トンボ」についてご紹介したいと思います。
 

それでは、また次回をお楽しみに。

 

By Angus Miyaji
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